キウォフプラス猫用


パモ酸ピランテル:ピランテルは動物の消化管からは吸収されにくい性質を持っているので安全性の高いお薬です。腸管内の線虫類(回虫、糞線虫、鈎虫)などに広く効果があります。
幼若虫は口が小さく、薬剤粒子が取り込まれにくく効果が少ないと言われています。そのため、さらに成長し口が大きくなった時に再投与して駆虫する方法が推奨されています。これが期間をあけて再投与が指示される理由になります。寄生虫の神経接合部位で脱分極神経遮断を起こすことで麻痺を起こします。
フェバンテル:フェバンテルはプロベンゾイミダゾールというプロドラッグです。プロドラッグとは投与されると生体内で代謝作用を受けて薬理効果のある物質に変化する薬剤のことです。体内に取り込まれるとプロベンズイミダゾールからベンズイミダゾールに変換されます。寄生虫のエネルギー産生阻害、フマール酸還元酵素阻害、グルコース転移阻害、βチュブリンと結合して微小管の重合を阻害することで効果を発揮します。条虫に効果のあるお薬です。
猫の入手元としてペットショップのほか、保護猫や元野良の猫さんを入手される方も多いでしょう。人間ではほとんど聞かなくなりましたが、野外で過ごす猫さんでは寄生虫の感染はまだまだ多く起きています。こうした猫さんをお迎えする際は必ず駆虫してあげるとよいですね。
猫に多い寄生虫としては瓜実条虫があります。日本における猫の感染率は1.4~51.4%と報告されています。成虫は卵の詰まった白い袋(片節)をちぎって糞便に混ぜますが、この袋は1cmほどあるので肉眼でも観察ができます。うんちの中でも動いて見えるのでハエの幼虫と間違われることも多いです。瓜実条虫はノミの体内で幼虫の状態で感染しています。ノミの寄生を受けている猫さんが毛づくろいなどで摂取することで感染が成立してしまいます。
猫回虫もよくみられます。卵が含まれる土を舐めとってしまうことで感染し、幼虫が大人になる過程で肺や目などを通過した際に様々な症状を引き起こします。気管にも移動してそこからまた腸管に入る性質があるのですが、咽喉頭にきたところで違和感を覚え吐き出すことがあります。猫がそうめんのようなものを吐いたということで飼い主さんが驚いて受診されることも多いです。
中には筋肉で成長をストップさせて休眠状態に入るものもおり、駆虫薬がそこまではとどかず効果がないことがあります。こうした休眠状態の猫回虫は宿主である猫の免疫力がなんらかの原因で落ちたときにまた腸管内に移動してきます。腸管にいれば駆虫薬でやっつけることができますが、どのタイミングで休眠していたものが出てくるかは予想できません。定期的な駆虫は新たな寄生虫の感染を予防するとともに、休眠状態の寄生虫をやっつけるという目的もあるのです。
マンソン裂頭条虫は瓜実条虫とは違い、幼虫はノミではなくネズミのような哺乳類やカエルやカメ、蛇などの小型の動物に潜んでいます。野外で狩りをする猫ではこれらの動物をマンソン裂頭条虫とともに飲み込んでしまい感染します。成長が早くサイズも大きいので栄養不良や食欲の亢進などを引き起こします。全国にマンソン裂頭条虫は存在しますが、小型の動物が比較的すくない市街地は少ない傾向にあります。反対に都市近郊で自然が残っているところ、田園地域、農村地域ではよくみられます。人間にも感染することがあり、幼虫が筋肉や皮下を移動することで発熱・疼痛・痒みをもたらすマンソン裂頭条虫幼虫症(孤虫症)を引き起こします。
このように猫の寄生虫を駆虫・予防することは飼い主である人間の健康を守ることにもつながるのです。

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